全脳自由帳

より考えるために書く

暗号解読(サイモン・シン)

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

年末に読み始めた「カラマーゾフの兄弟」は5巻もあるし、内容が内容であるためそんなに速く読めないので、息切れしないように並行して他の本も読んでいる。その中の1つがこれ。こっちはハイペースで読めた。

期待にたがわない良書だった。古代ギリシャから現代までの、暗号作成者と解読者の闘いの歴史。特に、有名なエニグマ暗号をはじめとして第1次・第2次世界大戦で暗号方式の開発とその解読がいかに重要な役割を果たしたかがよくわかる。そして、私がこれまで知った技術・しくみの中で最も「目からウロコ」だったものの1つである公開鍵暗号や、なりたちや状況を一度知っておきたかった量子コンピュータ・量子暗号のこともきちんと書かれている。

フェルマーの最終定理」「ビッグバン宇宙論(Big Bang)」と同様、「難しい事柄をわかりやすく説明する」「科学技術の進化を通じて、それに取り組んだ人間たちのドラマを描く」に重きを置いたサイモン・シン節は健在。暗号のしくみや歴史に少しでも興味のある人には超オススメ。

これで彼の三部作を全部読んでしまった。ちょっと寂しい。