全脳自由帳

より考えるために書く

アインシュタイン丸かじり(志村史夫)

アインシュタイン丸かじり―新書で入門 (新潮新書)

アインシュタイン丸かじり―新書で入門 (新潮新書)

タイトルの通り、アインシュタインが構築した種々の理論について、薄い新書でかなりのことを理解できる、というかわかった気になれる。

アインシュタインノーベル賞級の論文を5つも同じ年に立て続けに発表していたというのを、はずかしながら知らなかった。「奇跡の年」と呼ばれる1905年である。当時の彼は大学の先生ではなく、スイスの特許局の役人だった。論文は以下の5本。

  1. 光の粒子説(3月論文): 光電効果に関連
  2. 分子の大きさの決定法(4月論文)
  3. ブラウン運動(5月論文)
  4. 特殊相対性理論(6月論文)
  5. 質量とエネルギー(9月論文): 有名な E = mc^2

4.の特殊相対性理論は「動いている物体の長さは縮み、時間は遅れ、質量は大きくなる」などの衝撃的な結論を導くものだが、このわかりにくい理論も、「あること」を認めてしまいさえすれば急にわかりやすくなると解説されていて、目からウロコだった。

そのあとの一般相対性理論(「時空の歪み」を中心とする)をもう少していねいに解説してほしかったが、全体としては非常によい入門書なのではなかろうか。