全脳自由帳

より考えるために書く

読書の腕前 (岡崎武志)

読書の腕前 (光文社新書)

読書の腕前 (光文社新書)

いわゆる「本の本」。書評家であり、年に本を3000冊買うという著者が、本の読み方、本に対する愛情、本に関する思い出などを記している。

一番共感できたのは、「本を読むという目的のために旅に出る」という話。私は最も読書に集中できるのがなぜか電車の中で、自宅よりも電車での読書量の方がずっと多い。そこで時間のある日にJRの環状線をグルグル回りながら本を読むのもいいなと前から考えていたのだが、電車に乗っている時間を埋めるために本を読むのではなく本を読むためにわざわざ電車に乗るというのはちょっとバカバカしいなと思っていた。しかしそれを実践している人もいることを知って意を強くした。環状線グルグルなどとケチなことを言わず、行けるところまで行って降りたところで少し街を歩いて帰ってくれば、ちょっとした旅にもなる。そのうちやってみたい。

「ツン読をおそれてはいけない」というのにも勇気づけられる。読みたいと思った本はどんどん手に入れればいいのである。「ある本を買おうという意識が働いたとき、最初の段階でその本は浅く読まれている」そうである。

共感できなかったのは「人に本を薦めないし、人から薦められても読まない」という話。書評のプロは我々とは違うのだとは思うが、好きな本について人と語り合うのは楽しいことだと思うのだが。だいたいこの本でも、最後の章で「蔵書のなかから『蔵出し』おすすめ本」として何冊も薦めているのである。