全脳自由帳

より考えるために書く

NHK受信料の怪(5) 受信料の目的

NHKの受信料の目的・意図について、以下の解説がある。

とても勉強になった。このエントリによると、NHK受信料というのはもともと、民法を含めたテレビ放送のためのインフラを広く日本全国に拡大することを意図して設定されたものであり、視聴の対価として請求されるものではない。以下は抜粋。

人口密集地で集めた受信料で、今まで電波の届かなかったところに送信用アンテナを設置し、電波の届くところに変えていきます。NHKの電波が届くようになれば、テレビを設置する人も出てくるでしょうから、民間放送局も経営が成り立つ地域に変わっていきます。その結果として民間放送局が設立されやすくなり、日本国中で多くの放送局の放送を見ることができるようになっていきます。また、NHKと民間放送局が同じ鉄塔を共用すれば、民間放送局の鉄塔の維持費が少なくなり、民間放送局が参入しやすくなる結果として多くの地域で民間放送を見ることができるようになるでしょう。
つまり、NHKにお金を払うことで、受信者は直接的にはNHKに払っているが、間接的に民間放送局も含めた送信施設を維持することに寄与すると考えられたわけです。

ここからは私の解釈だが、上記の考え方からすれば、例えばアナログ放送のラインを使ってBS1,2が観られるという場合には衛星カラー契約を締結する義務はないように思える。また、CATVでBSチャンネルを観ている場合にも衛星カラー契約の義務は発生しないと思われるが、CATVについては上記NHKカテゴリの中の「ケーブルテレビとNHK受信料」で書かれている通り、そもそもNHK受信料の対象にならないというのが妥当な解釈のようである。いずれにしても、BSチャンネルの番組を観られるから衛星カラー契約の受信料を払う、というものではない。とすると、「NHK受信料の怪(3) 誘導」でNHKの人が「公平な受信料負担のため、衛星カラー契約について前向きに御検討いただければと」と言ってきたのは変である。あるいは、正面切って請求できないから「前向きに御検討」などと言ってくるのかも。それでもやっぱりおかしいが。

NHK受信料の制度が今の時代に合っていないというのは前から言われていることだが、こうして考えてみるとますますそう思える。放送インフラを広く日本全国に拡大するという目的が、地上波のみならず衛星放送・CATV・インターネットが全国に広く普及している現代に全く整合していないからである。建設投資がとっくに回収できているのに高速料金をとっている高速道路と同じような感じがする。

現在私はNHK-BSを地上波アナログ(BS1,2)とCATV(BS1,2,hi)で観ることができるが、衛星放送向けアンテナを立てていないので、引き続きカラー契約の受信料のみを支払い、衛星カラー契約は結ばないことにしようと思う。先日もNHKから「衛星カラー契約のお願い」というハガキ(申込書を兼ねる)が来ていたが、放置している。ただし「NHK受信料の怪(2) CATV画面の表示」で書いた画面表示をNHKが復活させると言ってきたら(言ってこないと思うが)、まあ放送する側の意志なのでどうぞと言うかもしれない。

※なお、上で紹介したnonkiさんの各エントリ(私のこのブログのエントリもだが)の内容はあくまで放送法や受信規約の一解釈と見なされるべきものであり、これらに従って行動したときの責任は行動した人にあることに注意すべきである。

(了)