全脳自由帳

より考えるために書く

NHK受信料の怪(4) インフラとコンテンツ

テレビ放送を観る手段として、アナログ放送(地上波・衛星)に加えて近年は地上波デジタルやBSデジタルが加わり、さらに電波で受信するだけでなくケーブルテレビ(CATV)でも観ることができるようになった。また番組を流すラインとしてのNHKの放送チャンネルも増えているから、どういう手段でどういうチャンネル/コンテンツを観ることができるのかがよくわからなくなっている。さらにそれらとNHK受信料の関係となると余計にややこしい。

というわけで、NHKのテレビ放送を観るための放送手段(インフラ)と番組内容(チャンネル/コンテンツ)の対応を表にしてみた。

NHKのテレビ放送は5つのラインから成っている。大昔からあるのがNHK総合NHK教育で、これらは従来の地上波アナログで観られる。さらに地上波デジタルが視聴できる地域では、総合・教育それぞれに複数チャンネルを割り当てて同時に複数の番組を観られるようにしている。私の住んでいる大阪では総合・教育それぞれに3つのチャンネルが割り当てられている(現状では同時に3つの番組を放送していることは滅多にないが)。また地上波デジタルはハイビジョン対応であり、ハイビジョンで観られる番組が最近はかなり増えてきた。

衛星放送のアンテナとBSチューナを設置すると、BSアナログのチャンネルBS1,2を観られる。ハイビジョンテレビがあればBS-hi(BSアナログ・BSデジタルの両方あり。BSデジタルには専用チューナーが必要)も観ることができる。BS1,2は衛星アナログ画質(地上波アナログよりはよいがハイビジョンより劣る)である。ただし音声はBモードステレオだとBSデジタルの音声より音質がよい。

NHK放送を中継しているCATVでは、以上のチャンネルを全て観られるようにしていることが多い。そして前回書いた通り、契約した時点ではBS1,2,BS-hiの画面に「NHKでは皆様にBSデジタル設置のご連絡をお願いしています...」という表示が出る。

さて、NHK受信料FAQの「デジタル放送を見るための受信料は?」を見ると、「地上デジタル放送は、カラー契約で、BSデジタル放送は、衛星カラー契約で、ご覧いただけます」とある。したがって、結果としてカラー契約・衛星カラー契約の別は、放送手段(インフラ)によらずどのチャンネルを観られるかで表のように決まっているように見える。つまりBS1,2やBS-hiの番組を観られる場合に衛星カラー契約の受信料を払うという解釈である。CATVの上記表示もその方針で衛星カラー契約の必要性を明らかにするために出しているように見える。

こうして表にしてみると、「NHK受信料の怪(1)」で書いた、地上波アナログとしてBS1,2を観ている場合(図の△)に衛星カラー契約の受信料を払う気にはますますなれない。画質が悪い上にBS-hiを観る手段がないのであるから。

ところがいろいろ調べてみると、そもそもNHKの受信料というのは「どのチャンネルを観られるか」で決まるのではないのである。

(つづく)