全脳自由帳

より考えるために書く

藤圭子はすごかった

新宿の女

新宿の女

 

今は宇多田ヒカルの母として有名な藤圭子。昔、「圭子の夢は夜開く」の頃の彼女に関する評論を読んだことがある。「藤圭子の歌にはすさまじい怨念を感じる。しかしこれは今だけのきらめきで、すぐにあせてしまうであろう。それが残念でならない」というような内容だった。

オリコンのいろんな記録を見ていて知ったのだが、彼女はすごい記録を残している。

[シングルチャート(1968年〜)同一アーティスト連続1位記録]

  1. 藤圭子 18週(女のブルース[8] + 圭子の夢は夜ひらく[10]) 1970年
  2. ピンク・レディー 17週(渚のシンドバッド[5] + ウォンテッド[12]) 1977年
  3. 宮史郎とぴんからトリオ 16週(女のみち) 1972年

[アルバムチャート(1970年〜)同一アーティスト連続1位記録]

  1. 藤圭子 37週(新宿の女/”演歌の星”藤圭子のすべて[20] + 女のブルース[17]) 1970年
  2. カーペンターズ 18週 (ゴールデン・プライズ第2集) 1974年
  3. エルビス・プレスリー 16週 (この胸のときめきを) 1971年

1970年の藤圭子はすごかったようだ。「すさまじい怨念」を歌っていた時期だろう。アルバムの方では上記2枚に続いて「演歌の競演/清と圭子」(クールファイブ・藤圭子)が4週連続1位になっているから、それも入れると41週連続である。またアーティストではなくアルバムごとのランキングにすると1位と3位になる。ちなみに、連続でなく通算でのアルバム1位獲得週だと、井上陽水「氷の世界」の34週がトップ、藤圭子「新宿の女/...」は歴代2位。

といっても、枚数でいうと今と比べれば大したことはない。昔はシングル至上の時代で、藤圭子の一番売れたアルバム「新宿の女/...」でも約30万枚である。対して歴代アルバム売上枚数1位は藤圭子の娘・宇多田ヒカルの「First Love」で、実に765万枚。なんせ初動(発売1週目の売上げ)が約200万枚である。その代わり今はランキングの入れ替わりが激しく、ドーンと売れてすぐにランクが下がる。「First Love」は通算6週しか1位になっていない。連続20週1位なんていうアルバムはもう出ないだろう。時代が文字通り一世代違うのである。

2013-08-23追記

謹んで藤圭子さんの御冥福をお祈りいたします。