全脳自由帳

より考えるために書く

環境問題にどう関わるか

私は環境問題に対しては、世界中で起こっていることを聞けば聞くほど「もう何をやってもどうせダメ」という無力感を覚えるばかりで、力が湧いてこなかった。「地球環境に対して自分のやれることをやろう」という言葉を聞くたび、「それではダメだろう」という気持ちになるのである。

最近、伊勢谷友介の本を読んだ。

社会彫刻

社会彫刻

 

彼は、俳優・映画監督として活躍しているだけでなく、リバース・プロジェクト(Rebirth Project)という会社を立ち上げて、様々な活動を行っている。オーガニック・コットン製のTシャツや生地再利用デニム(私には「ジーンズ」「ジーパン」という言い方の方がスッキリくるのだが…)の製作、被災地復興や地域活性化の支援、現代版松下村塾など。

いろんなインタビューで、彼は「人類が地球に生き残るためのことをする」ことが自分の生きる意味だと言っている。彼のすべての仕事はそのためと位置づけられているようだ。俳優や映画監督の仕事もそこにつながっているのだという。

logmi.jp

オーガニック・コットン、生地再利用。このあたりは環境問題の範疇に入る。

この本や伊勢谷氏のインタビューに触発されて(それだけではなく、いろんな人と話した結果でもあるのだが)、私も「自分の生きる意味につながっていると実感できることを定めて、それとの関係で環境問題なり何なりを位置づけてみてはどうか?」と考えるようになった。

私の生きる意味はと考えると、人の(大上段に振りかぶると、人類の)リテラシーを上げる、ということにあると感じている。そこにつながることをやっていけばいいのではないか。たとえば科学的に考えることを伝える、人や集団の力を引き出す、などなど。自分がそれをやることが地球や人類にとってどれだけのインパクトがあるかはおいといて、まずはそういう行動を起こしてみるのが先かなという気に(やっと)なっている。

今年最後の更新。来年は、自分が活かされていると今年よりも実感できる年にしたい。

自転車の「ケンケン乗り」はできなくてもいい

「ケンケン乗り」という呼び方があることを知った。自転車を発進させる時のあのやり方にである。

あのやり方。文章では説明しづらいが、まずハンドルを持った状態で自転車の左側に立ち、左足を左ペダルに乗せる。その状態から、右足で地面を蹴って自転車を前に走らせ、何歩か右足でケンケンしたらサドルにまたがる…という発進法。見たことがないという人はまずいないだろう。

私はこのケンケン乗りができない。やったことがないからである。発進する時は、まずサドルにまたがり、片方のペダル(たいてい右)を踏んで自転車を動かす。この方法で困ったことはないので、ケンケン乗りの必要性を感じたことはなかった。しかし子供のころ、まわりの友達はよくやっていたので、若干の劣等感はあった。

今ではケンケン乗りを「おばちゃん乗り」と呼ぶ人もいて、比較的年配の女性がやるもの、と思われているらしい。昔は老若男女問わずかなり多くの人がやっていたと思うが、確かにあまり見かけなくなったように感じる。

portal.nifty.com

関西でもあまり見ないように思うのである。

そして、ケンケン乗りはどうもあまり勧められない発進法であるらしい。

wakuwaku-jitensha.com

この記事によると、安定性がよくないのでやめた方がいいとのこと。そして、正しい発進のしかたを以下のように解説している。

まずは乗る前に、後ろを確認して下さい。
そして、安全を確保したところで、サドルには腰掛けず、フレームを跨いで片足をペダルに載せます。

そうしたらペダルを踏み込みつつ、空いている足で地面を蹴って下さい。
すると、一気にスピードが出るのですぐにバランスが取れます。

肘と膝を伸ばすと、サドルにすんなりと座れます。

サドルに腰掛けずに、前のフレームをまたいだ状態でペダルを踏んで発進するのか。やったことがなかった。確かにこれが安全にできるのなら、サドルの高い自転車でも乗りやすそうである。

そして、電動自転車ではケンケン乗りは特に危ないらしい。

電動自転車には何度か乗ったことがあるので、これは容易に想像がつく。ケンケン乗りの時にペダルが電気の力でグイーンと回ったらとても危ない。

結論。自転車のケンケン乗りをしている人は、ちゃんとした発進法に変えることをお勧めします。特に電動自転車ではケンケン乗りは絶対にやめましょう。そして私がケンケン乗りを習得することはないでしょう。

何十年かぶりに「ローマの休日」を観た

TOHO系の映画館で「午前十時の映画祭8」というのをやっている。昔の名画を朝10時から上映するという企画。古い映画だからか、料金は割と安い。

その中で今年「裏窓」「ショーシャンクの空に」「ローマの休日」を妻と観に行った。「ショーシャンク」も非常によかったのだが、やはり「ローマの休日」。今年一番よかった映画を挙げるとするならこれである。

asa10.eiga.com

小学生の時にテレビの映画劇場で観たきりだった。その時にもいい映画だと思ったが、当然それから自分の感性も考え方も変わっている。それにこの名画を映画館で観たことがないのは残念なことだと思っていたのである。

まったくもって圧倒された。ストーリーだけでなく、細かいところにも工夫がこらされていて、飽きさせない。笑いどころもかなりある。こんなに行き届いた映画だと思わなかった。終わった時の妻の第一声も「おもしろかったー」。

オードリー・ヘップバーンは決して好みのタイプの女優ではないのだが、この映画ではただただ美しい。最後の記者会見のシーンには、筋がわかっていても引き込まれる。

いい映画は、何十年経っても色褪せない。やっぱり映画館に観に行ってよかった。

年賀状を(ほぼ)やめることにしたら楽になった

年賀状は毎年70枚あまりを書いてきたのだが、年々それがきつくなってきた。

印刷だけですますということはしたくないので、全員に必ず何かメッセージを書くようにしている。それは変えたくないが、手書きでものを書く機会が減ってきたためか手がくたびれるし、長い間会っていない人には書くことがない。12年前(同じく戌年の年賀状を書こうとしていた)のエントリにもそんなことを書いていた。

rice-addict.hatenablog.com

それに加えて、年賀状をやめてFacebookなどでの挨拶だけですませるという人が増えてきて、年賀状を出すことの「マスト感」が近年急速に薄れてきた感がある。

実際、年賀ハガキの発行枚数の減少は著しい。

www.garbagenews.net

嵐が「そうか! 平成30年か!」と意味不明なことを言ってみても、この凋落を止められるとは思えない。

というわけで、今年も年賀状を書くのがおっくうだおっくうだと思っていたのだが、いよいよ押し詰まってきてついに決心した。今年から枚数を大幅に減らすことにする。具体的には、親族だけにしか出さないことに決めた。わずかに8枚。それでも絵柄を決める必要はあるが、労力はぐっと減る。返事も出さないことにする。

これまで年賀状を書かせていただいていたみなさん、申し訳ありません。でもこれでスッキリしてます。

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 50周年

ビートルズの大名盤「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」が発売から50周年を迎えたことを最近知った。

The Analoguesというバンドがこのアルバムの完全コピーライブを行っている。YouTubeを徘徊していてたまたま見つけた。


Sgt Pepper 50 year later; Live in Concert; 20170602 The Analogues

これを観ると、特にポールのベースが重要な役割を果たしていたのだということが改めてよくわかる。そしてこのThe Analogues、どの曲もすばらしくうまくコピーしている。特に"Within You Without You”には感嘆。バンドメンバーによるシタールとディルルーバ(というらしい)もいいが、なかでもNiti Ranjan Biswasというゲストミュージシャンのタブラがすごい。

そして、Sgt. Pepper’sのリミックス版が出ていることも知った(知ってしまった)。 

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)

 

この「スーパーデラックスエディション」はCD4枚とブルーレイ1枚・DVD 1枚という構成で、以下が入っている。

  • CD1: アルバムSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandを新たにステレオでリミックスしたバージョン
  • CD2, 3: 収録されなかったテイク集(Strawberry Fields Forever、Penny Lane含む)
  • CD4: アルバムSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandのモノラルミックス + Strawberry Fields Forever、Penny Laneなどのモノラルミックス
  • BD5, DVD6: アルバム + Strawberry Fields Forever、Penny Laneの5.1チャネルオーディオミックス、プロモーションフィルム、ドキュメンタリー"The Making of Sgt. Pepper"

うーん、こんなものを出されたら買うしかないではないか。注文してしまった。2009年のデジタル・リマスター盤(ステレオモノラル)に続いてまたしても乗せられたのである。これでSgt. Pepper'sは都合7バージョンを持つことになる。聴き比べてみよう。

"The Making of Sgt. Pepper"は、テレビ放映された時にVHSに録画したのをDVDにダビングして大切に持っている。これがよい画質で観られるのはうれしい。

年末年始の楽しみが増えた。本当にビートルズは一生ものである。

「なるほどですね」という言い方はありなのか

ある人と話していて、私が何かを説明するたびにその人が「なるほどですねー」と言うのが気になった。そんな言い方を聞いたことがなかったのである。

「なるほどですね」というのは日本語として正しいのだろうか? 調べてみた。

www.nhk.or.jp

少なくとも敬語としてあまり適当でない言い方だとは言えそう。ただしこの記事によると、九州・沖縄地方の人たちには比較的抵抗感が少ないらしい。

私の妻が長崎出身なので聞いてみると、「なるほどですね」は聞いたことがないという。ただ、妻の実家に帰省すると

「だいぶ涼しくなりましたけど、湿気がですねー」

のような言い方をよく耳にする。ニュアンスを伝えるのが難しいのだが、「湿気がですねー」はそこで文章が完結していて、「湿気がまだ多い(ので不快)ですよね」というような意味。

こういう言い方があるので、「なるほどですね」にもあまり抵抗感がないということなのかもしれない。

私個人の違和感はどうやら、感動詞(間投詞)である「なるほど」を名詞(あるいは形容動詞)のように扱って「です(ね)」をつけていること、「ですね」と同意を求めるような言い方になっていることにありそうである。

宝くじは買わない

news.allabout.co.jp

私は金持ちではないが、宝くじを買ったことがない。どうも買う気がしない。

妻は時々買っていて、ごくたまに3000円ぐらい当たったりする。しかしトータルではマイナスである。そりゃ普通そうなるわな。

上の記事にもあるように、宝くじの還元率(元手が戻ってくる率)は40%台で、数あるギャンブルの中でも最低クラスである。

oncasinojapan.info

たとえば競馬は75%ぐらい。ずっと率がいい。ただし税金がかかるらしいが、それでも宝くじよりは上。つまり何の研究もせずにランダムに馬券を買っても、宝くじよりだいぶましということになる。

さらに率のいいのがある。何もしないことである。これなら還元率100%。

もちろんこれは平均での話で、競馬では普通の元手で何億円も当たることはないし、「何もしない」のは決して儲からない。宝くじなら、ものすごく小さい確率ながら、数百円〜数千円の元手で数億円(今年の年末ジャンボでは1等+前後賞2本で10億円)を手にできる可能性がある。

だが、もしも数億円入ったとして、それで今より幸せになれるのだろうか?

高額当選者が不幸になったという話はよく聞く。自分が当たった場合のことを想像しても、ロクなことが思い浮かばない。周囲に隠しておかないといけないだろうし、使い道を考えるのも気が重い。変なものに手を出したりして取り返しのつかないことになるリスクもある。

少額の宝くじ購入で夢を見られる人は買うといいと思うが、私は上記のようなことを考えてしまい、さっぱり夢が見られないのである。

♪宝くじは買わない だって僕は お金なんか いらないんだ…
(「宝くじは買わない」RCサクセション)

年間100冊は間近

今週のお題「今年中にやっておきたいこと」

本を年間100冊読むコツ」というエントリを書いた。今年もあとわずか。1月から今月末までに100冊読めるか、追い込みの時期である。

booklog.jp

これを書いている時点で、今年読了した本(マンガを除く)は97冊。忙しかった10月に4冊しか読めなかったのは痛かったが、それまでの貯金が利いた。あと11日で3冊というのはかなり楽なペース。

昨年に続いて年間100冊は達成できそうになってきたが、気を抜かないでいこう。「途中でやめてしまっている本の棚卸し」もしておきたい。

チェスも将棋も! AlphaZeroのすごさ

10月にAlphaGo Zeroのことを書いたが、先週はさらにすごいニュースが。

nlab.itmedia.co.jp

あんぐり。

AlphaGo Zeroがゼロから人間やそれまでのAIを超えたといっても、現在のところはあくまで囲碁に限った話、と思っていたのだが、まさかこんなに早くチェスや将棋にまで応用されてしまうとは。しかもニューラルネットワークのアーキテクチャ(?)としては同じもので囲碁にもチェスにも将棋にも使えるという。

wired.jp

本当に、これからの展開に目が離せない。

DeepMindの論文はこれ。

Mastering Chess and Shogi by Self-Play with a General Reinforcement Learning Algorithm (PDF)

将棋の方は、自己学習を始めてから2時間でelmo(今年の世界コンピュータ将棋選手権優勝ソフト)を超えたという。1手1分で100戦して90勝8敗2引分け。とんでもなくすごい。人類が何百年もかけ、将棋ソフトもようやく近年になって到達したレベルをやすやすと跳び越えてしまったということになる。

チェスでは世界最強のオープンソースチェスエンジンであるStockfishと100戦して28勝0敗72引分け。引分けの多さが目を引く。それと、28勝のうち25勝が白番(先手)でのもので、黒番(後手)では3勝しかしていない。このレベルになると先後の差は非常に大きいと見える。

そう、「NHKスペシャル 天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」で、羽生さんとハサビス氏がチェスで対戦して、確か1勝1敗だった。

チェス以外のターゲットとして、シャンチー(中国将棋)やチャンギ(朝鮮将棋)ではなく日本の将棋が選ばれたのは、案外羽生さんとの交流があったからかもしれないな。持ち駒を使える(だから終盤の変化が多い)というユニークなルールに注目したからかもしれないが。

選択的夫婦別姓制度について(3)

2年前に、現在の「夫婦同姓」は違憲かどうかを争う裁判があった。

www.iza.ne.jp

明治時代から続く、夫婦別姓を認めない民法の規定の違憲性が争われた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は「合憲」との初判断を示した。大法廷は「婚姻を直接制約したものではない。制度はわが国に定着し家族の呼称として意義がある」と指摘し、原告側が求めた選択的夫婦別姓導入には「国会で判断されるべきだ」とした。

私は選択的夫婦別姓制度には賛成だが、同姓でなければならない現在の制度が違憲かと問われたら、違憲とまでは言えないと思う。夫の姓に変えることを強制しているわけではないので、別に法律自体が男女差別をしているわけではない(不便を生じさせているかどうかは別として)。合憲という判決は妥当なのではないか。問題は、その先の運用を考えたときにどういう制度にすべきかであって、まさに「国会で判断されるべき」ことだと思うのである。

そういう意味で、別姓制度に変えたい人たちが違憲性の裁判を起こしたのは「作戦ミス」だったのではなかろうか。合憲判決によって(選択的)別姓がダメとされたわけではないのに、そうであるかのような印象を世間に与えてしまうからである。合憲であることは現制度を維持するための必要条件に過ぎないが、十分条件であるかのように思う人はいるだろう。

ただ、前のエントリで書いたような「民法上の氏」「戸籍法上の氏」の関係を知ると、現在の制度は、違憲とは言えないまでもいびつなことになっていると思えてくる。やはり選択的夫婦別姓制度を採るのが一番いいのではないか。